ベランジュ(英語表記)Jacques de Bellange

改訂新版 世界大百科事典 「ベランジュ」の意味・わかりやすい解説

ベランジュ
Jacques de Bellange

17世紀フランスの画家エッチング版画家。生没年不詳。ナンシーに生まれる。1602-16年ころまで版画制作およびロレーヌ公の宮廷の室内装飾,肖像画を手がけたが,47点の版画のほか数点の油彩画が現存するのみである。修業時代にパルミジャニーノなど国際マニエリストたちの影響を受け,宮廷趣味の洗練された優雅な様式をもつ。明暗を駆使した巧みなエッチング技法,独特の歪曲する形態表現を用い,宗教的主題を扱いながらも幻想的な画像を創出している。代表作に《墓場の三人のマリア》《ピエタ》などのほか,J.カロの主題を踏襲した《乞食》など下層民衆を描いた風俗画がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベランジュ」の意味・わかりやすい解説

ベランジュ
Bellange, Jacques

[生]1575頃.ナンシー?
[没]1616
フランスの画家,版画家。ナンシーで 1602~16年に制作したことが確認されている。ロレーヌ公シャルルの命で,02年より公の館の「鹿の間」の壁画 (現在はない) をローマ史に基づいて制作。 11年これを完成後,「ギャルリー・ヌーブ」にも従事。 20世紀になってから,現在かなりの量が保存されている素描,版画類 (ルーブル美術館版画室,ウィーンアルベルト版画美術館エルミタージュ美術館) によって注目されるようになった。

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