改訂新版 世界大百科事典 「ボアギュベール」の意味・わかりやすい解説
ボアギュベール
Pierre Le Pesant de Boisguilbert
生没年:1646-1714
フランスの経済学者。Boisguillebertと書かれる場合もある。ノルマンディーの中心都市ルーアンで富裕な貴族の家に生まれた。パリで法律を学び,1676年に故郷に戻って司法官職に就き,90年からルーアンの高等法院に属する司法代理官になった。彼は,ルイ14世治下のフランスで重税に苦しむ庶民の窮状と,とくに農村の疲弊を憂慮し,95年に主著《フランス詳論Le détail de la France》を匿名で出版した。同書で,彼は,国富を増大させるためには,まず消費を増加させることによって産業を振興させるべきであると説き,消費の増加を妨げている間接税や恣意的課税方法を改革することを提案した。彼の主張は,J.B.コルベールの重商主義を批判して農業の重視と自由放任を説いた点で,のちの重農主義の先駆となり,フランスにおける古典経済学の出発点となった。彼の経済学上の著作は,《ピエール・ド・ボアギュベール--経済学の誕生》2巻(1966)に収録されている。
執筆者:遅塚 忠躬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報