ポンチ絵(読み)ポンチエ

デジタル大辞泉 「ポンチ絵」の意味・読み・例文・類語

ポンチ‐え〔‐ヱ〕【ポンチ絵】

風刺寓意を込めた、こっけいな絵。漫画
概略図。構想図。製図の下書きとして作成するものや、イラストや図を使って概要をまとめた企画書などのこと。
[補説]1は、英国の風刺漫画雑誌パンチPunch)」からとも、またはこれにならって文久2年(1862)ごろに英国人ワーグマン横浜で発刊した漫画雑誌「ジャパン‐パンチ(The Japan Punch)」からともいう。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ポンチ絵」の意味・読み・例文・類語

ポンチ‐え‥ヱ【ポンチ絵】

  1. 〘 名詞 〙 ( ポンチは Punch から ) 西洋風風刺画・漫画のこと。そのような絵が一九世紀のイギリスの絵入り大衆週刊誌「パンチ」に多くのっていたところから生じたとも、また、イギリスの新聞特派員ワーグマンが一八六二年に日本で発刊した雑誌「ザ‐ジャパン‐パンチ」に由来する名称ともいう。ポンチ。
    1. [初出の実例]「ポンチ絵を善(よく)して人の似顔を写すに妙を得たり」(出典東京日日新聞明治一六年(1883)二月六日)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ポンチ絵」の意味・わかりやすい解説

ポンチ絵【ポンチえ】

幕末から明治にかけて西洋の風刺画やカリカチュアスタイルにならって描かれたユーモラスな風刺画に対して使われた。名称は1841年ロンドンで刊行された週刊誌《パンチPunch,or the London Charivari》に掲載された戯画にちなむ。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「ポンチ絵」の解説

ポンチ絵
ポンチえ

明治前期の風刺漫画。幕末期に来日したイギリスの新聞記者C.ワーグマンは,幕末~明治期に時事世相を風刺した漫画の月刊誌「ジャパン・パンチ」を刊行した。この形式にならった風刺漫画がポンチ絵とよばれて流行し,近代漫画の始まりとなった。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のポンチ絵の言及

【漫画】より

…明治以前からの漫画を描き続ける河鍋暁斎(かわなべぎようさい)のような作家はいたが,明治以後の漫画はむしろドーミエやホガースの漫画をヨーロッパからひきよせて,民衆に対していばりちらす日本の成上り官僚の姿をおかしく描いた,イギリス人C.ワーグマンとフランス人G.ビゴーによって新しくおこされた。イギリスの漫画雑誌《パンチ》にならって,ワーグマンの発行した日本最初の漫画雑誌《ジャパン・パンチThe Japan Punch》(1862創刊,87廃刊)は,〈ポンチ絵〉という名を日本に残した。ビゴーは日本の明治以前の漫画の作風に学ぶところがあり,1887年に創刊した漫画雑誌を《トバエTôbaé》と名付けた。…

※「ポンチ絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」