マクディシー(その他表記)al-Maqdisī

改訂新版 世界大百科事典 「マクディシー」の意味・わかりやすい解説

マクディシー
al-Maqdisī
生没年:946-?

エルサレム生れのアラブ地理学者,大旅行家。ムカッダシーal-Muqaddasīとも呼ばれる。その著《諸地域の風土を知るための最良分類の書Aḥsan al-Taqāsīm fī Ma`rifat al-Aqālīm》(985か988)は,観察の深さ,収集した資料の的確な使用,科学的編纂により最も優れたアラブ地理書の一つに数えられる。バルヒーの流れを汲み,もっぱらイスラム世界叙述を意図した。テーマは多様で表現は精緻である。とくに各地の商業宗派慣習についての情報は貴重である。叙述に際し各地域に固有の慣用語を尊重するなど独創的であるが,それだけに難解でもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マクディシー」の意味・わかりやすい解説

マクディシー
Maqdisī, Abū `Abd Allāh Muḥammad ibn Aḥmad

[生]946頃.エルサレム
[没]1000頃
アラブの地理学者。通称ムカッダシー Muqaddasī。祖父は高名な建築家。東はインド西北部やシースターン,西はイベリア半島近くまで,広範なイスラム世界を旅行した。 985年頃その地理書を仕上げ,さらにその後も手を加えたとみられるのが『諸地域の書』 Kitāb al-aqālīmまたは『諸地域を知る最良の区分』 Aḥsān al-taqāsim fī ma`rifat al-aqālīmで,2種の異本がある。当時のアラブ各地方の方言をも取入れたユニークな書。

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