改訂新版 世界大百科事典 「マドリード協定」の意味・わかりやすい解説
マドリード協定 (マドリードきょうてい)
1891年にマドリードで成立した〈虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関するマドリード協定〉の略称で,〈工業所有権保護に関するパリ条約〉の特別取極である。当初はフランスやスペイン等のヨーロッパの少数の国のみが加入する条約であったが,現在では30ヵ国以上が加盟しており,日本も1953年に加盟した。この条約により,原産地の虚偽または誤認を生じさせるような表示の使用は禁止され,また輸入を差し押さえられ,国際取引における不正競争行為は禁止されている。例えば,日本で産出されるブドウ酒にボルドーとかポートワインという表示をつければ違法となる。購入者はフランスのあるいはポルトガルのブドウ酒と誤認するおそれがあるし,またフランスやポルトガルの業者の信用もそこなわれるからである。日本ではこの条約の履行として,不正競争防止法が制定されている。
→工業所有権 →世界知的所有権機関
執筆者:中山 信弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報