マルク(Franz Marc)(読み)まるく(英語表記)Franz Marc

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

マルク(Franz Marc)
まるく
Franz Marc
(1880―1916)

ドイツの画家ミュンヘンに画家の子として生まれ、最初神学者を志して哲学と神学を学んだが、20歳でミュンヘン美術学校に入学した。1903年パリで印象派に接し、07年再度パリに滞在してゴッホに強い感銘を受けた。10年ミュンヘンで初の個展を開き、マッケクレーカンディンスキー親交を結ぶ。11年カンディンスキーとグループ「青騎士」を結成、その運動の中心的な推進者となる。彼は主観表出の媒体として動物を取り上げ、主体的な色彩調和と形態の厳しい抽象化によって自然と人間精神との深い交感を探った。12年マッケとパリでドローネーに会い、強い共感を抱き、以後アンリ・ルソー的なメルヘンの世界に純度の高い色彩のダイナミズムが加わり、14年には抽象画も手がけた。第一次世界大戦に従軍し、フランスのベルダンで戦死した。代表作に『動物の運命』(1913・バーゼル美術館)がある。

[野村太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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