ミカエル(その他表記)Michael

翻訳|Michael

デジタル大辞泉 「ミカエル」の意味・読み・例文・類語

ミカエル(Michael)

カトリック教会における大天使の一。教会信徒の守護者。ユダヤ教ではイスラエル民族の守護者。

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精選版 日本国語大辞典 「ミカエル」の意味・読み・例文・類語

ミカエル

  1. ( Michael ) カトリック教会における大天使の一人。サタンとの戦いの際、天軍側の総帥として勝ち、教会および信徒の守護者とされる。ユダヤ教ではイスラエル民族の守護者。

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改訂新版 世界大百科事典 「ミカエル」の意味・わかりやすい解説

ミカエル
Michael

ユダヤ教,キリスト教イスラム教の天使の名。旧約聖書ではイスラエルの守護天使とされ(《ダニエル書》),新約聖書ではサタンとの闘いを指揮する(《ヨハネ黙示録》)。西洋美術ではガブリエルと並んで,最も多く登場する天使であるが,啓示の天使ガブリエルと異なり,その役割から,武装した青年の姿をとって描かれることが多い。初期キリスト教美術や中世美術の作品では,左手に盾を持ち,竜の姿をしたサタンを槍で突こうとする図像が多く見られる(ライプチヒ工芸美術館所蔵の象牙板浮彫,9世紀)。〈最後の審判〉を主題とする作品にもしばしば描かれるが,人間の魂を秤ではかる表現(ロヒール・ファン・デル・ウェイデン《最後の審判祭壇画》1445ころ)や,空中罪人を突き落とす表現(ルーベンス《最後の審判》1620ころ)などが見られる。鎧をつけた姿の単独像も多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミカエル」の意味・わかりやすい解説

ミカエル
みかえる
mîkā'el ヘブライ語
Michael 英語
Michael ドイツ語

ユダヤ教の神観念の抽象化に伴って登場した、神と人を仲介する7人の天使長の1人(「エノク書」20章)。意味は「神のような者はだれか」。イスラエル民族を守護するためにサタンと闘争する守護天使(「ダニエル書」10章13、12章1、「ユダ書」9節、「ヨハネ黙示録」12章7)である。宗教美術のモチーフで、ミカエルが竜(サタン)を槍(やり)で退治する構図は不信仰エゴイズム、自我)を克服する表象でもある。聖ミカエルの紋章は銀色の地に先端が円形の赤色の十字架である。

[川又志朗]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミカエル」の意味・わかりやすい解説

ミカエル
Mikha'el; Michael

ユダヤ教,キリスト教における大天使の一人。天使長ともいう。ヘブライ語で「たれか神のごとき?」を意味するが,伝承によれば,悪魔の長ルキフェルが神に反逆したとき,天使の長ミカエルはこの語を叫んで悪魔と戦い,勝利を得たといわれる。天軍の総司令官とみなされ,イスラエルの民の守護者とされた。またキリスト教でも悪魔の軍勢と戦う天使軍の長とあがめられ,異教徒に対するキリスト教軍の総帥とされた。また戦争や災難のときに出現して,キリスト教徒の危機を救うとの信仰から,出現物語が各地に伝承され,記念の聖堂,修道院などが建てられている。特にローマ・カトリックとギリシア正教で広く崇敬されている。イスラム教でも信仰を擁護する大天使としてミカエルを尊崇する。

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百科事典マイペディア 「ミカエル」の意味・わかりやすい解説

ミカエル

ユダヤ教,キリスト教,イスラム教の大天使。〈誰が神のごとくあろうか〉の意。イスラエルの守護者(《ダニエル書》10)で,天使の大軍を率いてサタンと戦った。美術では若い男性として表され,祝日は9月29日。
→関連項目ガブリエル

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世界大百科事典(旧版)内のミカエルの言及

【はかり(秤)】より

…そのときメムノンの側が下がり,彼はアキレウスに討ち滅ぼされた。キリスト教では,天使ミカエルが魂の重さをはかるてんびんをもち,また《ヨハネの黙示録》6章に語られる4騎手のうち,3頭めの黒馬に乗る〈飢饉〉は,手に〈裁き〉のてんびんをもつ。イスラム教では,大天使ガブリエルが〈最後の審判〉の日にてんびんで人間の善業と悪業を秤量し悪業が勝ればジャハンナム(聖書のゲヘナに由来する語で〈地獄〉の意)におとすとコーランにある。…

※「ミカエル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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