ガブリエル(読み)がぶりえる(英語表記)Gabhrî'ēl ヘブライ語

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガブリエル」の意味・わかりやすい解説

ガブリエル
Gabriel

ユダヤ教キリスト教イスラム教の大天使の一人。ヘブライ語で「神の人」の意。ヘブライ語は Gavri`el,アラビア語は Gibrā`īl,Jabra`il,Jibrilと記す。イスラム教ではジブリールという。神意の啓示者で,旧約聖書では預言者ダニエルに現れて幻の意味を説明し(ダニエル書 9・21~23),新約聖書ではザカリヤにバプテスマヨハネの誕生を告げ(ルカ福音書 1・19),また処女マリアに現れてイエス・キリスト降誕を告知した(ルカ福音書 1・26。→受胎告知)。イスラム教ではムハンマドアッラーの啓示を与えたとされる。(→天使

ガブリエル
Gabriel, Ange-Jacques

[生]1698.10.23. パリ
[没]1782.1.4. パリ
フランスの建築家一族の一人。父ガブリエル (Jacques V,1667~1742) の跡を継いで王室建築家として活躍。古代およびイギリス建築の,特にパラディオ様式の刺激を受けてロココ様式を脱し,フランスの古典主義の伝統を推進して,新古典主義建築の先駆者となった。彼の作品で最も完成度の高いのは,ルイ 15世のためにつくったベルサイユ宮殿プチ・トリアノン (1762~64) であり,その均整と優美においては他の追随を許さないものがある。またパリのコンコルド広場整備 (53~54) のようなモニュメンタルな仕事にも従事した。

ガブリエル
Gabriel, Leo

[生]1902.9.11. ウィーン
[没]1987.2.19. ウィーン
オーストリアの哲学者。 1949年ウィーン大学教授。実存哲学立場に立ち,現代論理学形式主義に反対して「充全的論理学」 integrale Logikを提唱した。主著"Vom Brahma zur Existenz" (1949) ,"Logik der Weltanschauung" (1949) ,"Mensch und Welt in der Entscheidung" (1961) ,"Cusanusausgabe" (3巻,1964~67) ,"Integrale Logik" (1965) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガブリエル」の意味・わかりやすい解説

ガブリエル
がぶりえる
Gabhrî'ēl ヘブライ語

ユダヤ教とキリスト教における天使長の一人。神の人の意。『旧約聖書』末期の「ダニエル書」に2回(8章16、9章21)、『新約聖書』では「ルカ伝福音(ふくいん)書」に2回(1章19、26)言及されている。イスラム教の始祖ムハンマド(マホメット)もガブリエルを通して神の啓示を受けた。旧約では神と人間の間の仲介者として幻の意味を解き明かし、新約では神にかわってバプテスマのヨハネ、イエス・キリストの出生を告知する任務を担った。『旧約偽典』の「第一エノク書」20章7にはガブリエルを含む天使長のリストがある。

[秋輝雄]

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