日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムラサキカイメン」の意味・わかりやすい解説
ムラサキカイメン
むらさきかいめん / 紫海綿
[学] Haliclona permollis
海綿動物門尋常海綿綱カワナシカイメン科に属する海産動物。海岸の潮間帯の岩上に生息する海綿で美しい紫色を呈する。外形は殻層状で、ときに指状突起や煙突状突起が発達する。体表には直径2ミリ程度の流出口が開く。骨片は桿(かん)状体のみで、体内ではこの骨片が規則正しく網目状に並んでいる。一年中、海岸でみることができるが、冬には体表に汚泥などがついて目だたなくなることもある。普通、海岸に生息する紫色の海綿をすべてムラサキカイメンとよんでいるが、これには3、4種類が混同されている。詳しく調べるためには、骨片の大きさ、骨片の配列などを調べなければならない。分類がむずかしい仲間である。
[星野孝治]