日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
メンフィス(アメリカ合衆国)
めんふぃす
Memphis
アメリカ合衆国、テネシー州西端の商工業都市。人口65万0100(2000)。ミシシッピ川左岸に位置する河港で、同州最大の都市である。交通の要地であり、6本の幹線鉄道、15の航空会社の定期便がある。周辺の農業地帯で生産される綿花、肉牛、豚、ブロイラー、および木材の取引中心地である。綿花の取引では世界的であり、港の近くには多くの綿花市場が並んでいる。農産物加工、繊維、暖房器具、ピアノ、薬品、自動車用部品、木材加工などの工業が発達している。
1541年、ミシシッピ川を探検したスペイン人のデ・ソトがこの地でミシシッピ川を渡り、その後、白人の内陸探検隊の根拠地となった。1698年にフランスの砦(とりで)が建設され、のちにスペインの砦ができた。1797年に合衆国の砦が建設され、1819年に町がつくられた。1826年より町制が、49年より市制が施行された。1870年代に黄熱病が蔓延(まんえん)し、多数の市民が死亡したり市外へ移動したりしたが、1890年に市の人口は約6万5000に戻った。メンフィス州立大学、サウスウェスタン大学メンフィス校、テネシー大学医学部、クリスチャン・ブラザーズ大学などや、自然史博物館、プラネタリウム、美術館などの教育・文化施設、公園、ゴルフコース、植物園、動物園、水族館などのレクリエーション施設も多い。毎年5月に開催されるコットン・カーニバルは有名である。
[菅野峰明]