ヤマコウバシ(読み)やまこうばし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマコウバシ」の意味・わかりやすい解説

ヤマコウバシ
やまこうばし / 山香
[学] Lindera glauca (Sieb. et Zucc.) Blume

クスノキ科(APG分類:クスノキ科)の落葉低木。幹、枝ともに灰褐色で、高さ約5メートル。葉は楕円(だえん)形または長楕円形で長さ5~10センチメートル、全縁で薄く、裂くと芳香がある。雌雄異株。4~5月、葉腋(ようえき)から散形花序を出し、黄白色花を開く。果実球形の液果で径約7ミリメートル、黒く熟す。山地に生え、関東地方以西の本州、四国、九州、および朝鮮半島、中国に分布する。名は、枝を折ると芳香があることによる。古くは、葉を乾燥させて粉末にし、穀類団子に混ぜて食べたため、モチギの名もある。

[門田裕一 2018年8月21日]

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世界大百科事典(旧版)内のヤマコウバシの言及

【クロモジ(黒文字)】より

…果実は赤熟する。ダンコウバイL.obtusiloba Bl.やヤマコウバシL.glauca Bl.も同属の小低木である。テンダイウヤク(天台烏薬)L.strychnifolia (Sieb.et Zucc.) F.Vill.は中国中部原産の常緑低木で,享保年間(1716‐36)に渡来し,日本の暖地に野生化している。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」