山川 世界史小辞典 改訂新版 「ユーゴスラヴィア」の解説
ユーゴスラヴィア
Jugoslavija[セルビア・クロアチア],Yugoslavia[英]
バルカン半島の中央部に位置する国家。1918年にセルビア王国,モンテネグロ王国およびハプスブルク帝国内の南スラヴ地域から,セルビア人・クロアチア人・スロヴェニア人王国が建国された。29年にユーゴスラヴィア王国と改称。41~45年のドイツに対するパルチザン戦争に勝利を収め,45年にティトーを首班とする連立政権が成立した。さらに同年末には,憲法制定会議の選挙が実施されて人民戦線が圧勝し,ユーゴスラヴィア連邦人民共和国が形成された。48年にコミンフォルムから追放されると,自主管理社会主義と非同盟政策を2本柱とする「独自の社会主義」を進めた。63年にはユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国と改称。80年に終身大統領のティトーが死去し,経済危機が深刻化すると,共和国および民族間の対立が表面化して解体の道を歩んだ。解体に伴い,旧ユーゴスラヴィアの残存国家として,92年にセルビアとモンテネグロからなるユーゴスラヴィア連邦共和国(新ユーゴ)が建国された。しかし,90年代のユーゴスラヴィア紛争の過程で,モンテネグロのユーゴスラヴィアからの自立傾向が強まり,2003年2月には連合国家セルビア・モンテネグロに再編した。この結果,70年以上に及ぶユーゴスラヴィアという歴史的名称は姿を消した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報