ユーゴスラヴィア紛争

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ユーゴスラヴィア紛争」の解説

ユーゴスラヴィア紛争(ユーゴスラヴィアふんそう)

ユーゴスラヴィアの解体に伴い,発生した一連の紛争。ユーゴスラヴィア紛争は五つに区分できる。(1)1991年6月のスロヴェニアの独立に伴う,国境の管理権をめぐる共和国軍と連邦軍との衝突,いわゆる「10日間戦争」。ECの仲介で休戦協定が結ばれた。(2)クロアチアの独立後,91年9月から本格化した少数者セルビア人勢力と共和国軍とのクロアチア内戦。セルビア人勢力の保護を掲げて連邦軍が介入したが,国連の仲介で11月に停戦合意が成立。結局,内戦は95年にクロアチア軍がセルビア人勢力を排除するまで継続した。(3)ボスニアの独立の是非をめぐり,92年3月に始まるムスリム,セルビア人,クロアチア人3勢力のボスニア内戦。EUや国連の仲介による政治的解決は成功せず,95年8~9月のアメリカを中心とするNATO(ナトー)軍のセルビア人勢力に対する空爆後,11月にアメリカの主導でデイトン合意が成立した。20万人の死者と250万の難民,避難民を出した。(4)98年2月に始まるセルビア共和国治安部隊とコソヴォの独立を求めるコソヴォ解放軍との紛争。両者戦闘は長期化し,99年3月にはアメリカを中心とするNATO軍のユーゴスラヴィア空爆が78日間続いた。6月にミロシェヴィチ政権が和平案を受け入れたが,問題は解決されていない。(5)2001年2月に表面化したマケドニア紛争。人口の30%を占めるアルバニア人の武装勢力が権利拡大を要求政府憲法改正を約束し和平が成立した。10年に及ぶ一連のユーゴスラヴィア紛争は,周辺のバルカン諸国に多大な影響を与えた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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