消費税などの付加価値税について、モノやサービスを買った者(資産取得者・役務受益者)に申告・納付義務を負わせる納税方式。消費税などはモノやサービスの売り手が納税申告するのが一般的だが、逆(リバース)に、買い手に納税申告させるためリバースチャージとよばれる。グローバル化の進展で、海外の売り手を補足するのがむずかしかったり、海外の売り手が納税義務を回避・逃避したりする場合の対抗措置として、直接買い手に納税義務を課す手法である。ヨーロッパ連合(EU)が発案し、ヨーロッパ各国が導入している。おもに海外事業者(売り手)が宿泊予約、ゲーム、電子書籍、音楽、広告配信といったネットサービスのほか、コンサルティング、著作権、人材派遣などのサービスを国内事業者(買い手)へ提供した場合に適用される。日本でも2015年(平成27)の税制改正でリバースチャージが導入された。税法上、リバースチャージは納税申告・義務が売り手から買い手へ移動する制度であるとみることができる。
消費税など付加価値税は、買い手から預かった税を、売り手が納税申告する。これは仮に消費者などの買い手に納付申告義務を負わせると、手続きがきわめて煩雑になり、事務作業量が膨大になるからである。また課税は原則、売り手の住所が国内か海外かを基準に判断し、国内であれば課税対象とし、海外なら対象外としてきた。しかしグローバル化とデジタル化の進展で、たとえば、国内事業者が電子書籍を販売した際には課税されるが、海外事業者が日本で販売した場合は非課税となり、不公正が生じていた。EUは2011年の付加価値税改革指針でリバースチャージを提案し、EU理事会が2012年に採択し、買い手の住所を基準に課税か非課税かを判断するように改め、どの国の事業者からサービスを受けても課税されるようになった。EU域内では、おもにコンサルティング、広告、著作権、人材派遣の提供や外国企業による資産譲渡などがリバースチャージに該当しているが、加盟国によって適用範囲は異なる。
日本も2015年10月に改正消費税法が施行され、買い手の住所を基準に課税判断するように改め、宿泊予約、電子書籍、音楽配信といった、国外事業者からネットを介した「電子通信利用役務」の提供を受ける国内事業者にリバースチャージを導入した。また国外事業者が国内で行う芸能・スポーツ等の役務の提供も「特定役務の提供」として、リバースチャージ方式が適用される。ただ課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税の適用事業者は免除され、金融業などを除いて、ほとんどの事業者が適用外となっている。
[矢野 武 2019年3月20日]
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