ロシア連邦条約(読み)ロシアれんぽうじょうやく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロシア連邦条約」の意味・わかりやすい解説

ロシア連邦条約
ロシアれんぽうじょうやく

サハ (旧ヤクート) ,タタルスタンなどの一部共和国において連邦からの離脱を求める要求が強まりつつあった状況のなかで,ロシア連邦指導部が,連邦の解体を回避するため共和国や州に一定の自治権を保障する一方で国防,エネルギーなどの分野での連邦の管轄権を規定した条約。 1992年3月 31日,タタルスタンおよびチェチェンイングーシ両共和国を除く 18共和国,6地方,49州,1自治州,10自治管区,モスクワ市とサンクトペテルブルグ市の全権代表により調印された。国籍に関する問題,連邦国家資産の管理,財政,通貨,税,原子力,輸送,鉄道,情報・通信,宇宙開発,国際条約,戦争と講和の問題,軍事産業,裁判,検察などを連邦の権限に,また環境保全,教育,学術,文化などの一般問題,保健,家庭保護などの調整,自然災害対策,行政,労働,土地,住宅,水,森林,地下資源,環境保全,地方自治機関の一般原則制定などを連邦と共和国の協同権限としている。未調印国のうちタタルスタンは,その後 11月6日,「タタルスタンは主権国家であり,権限の相互委譲を定める条約に基づきロシアと連合する国際法上の主体である」とする憲法を採択し,連邦からの完全独立は宣言しないことになった。チェチェンイングーシは「チェチェン共和国」として 91年以来完全独立を主張してロシアに敵対していたが,他方,連邦指導部は「ロシア連邦内のイングーシ共和国形成の方針を決定し,92年チェチェン,イングーシの両共和国に分割された。

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