ロールス・ロイス(読み)ろーるすろいす(英語表記)Rolls-Royce plc

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ロールス・ロイス
ろーるすろいす
Rolls-Royce plc

世界的に有名なイギリスの大手エンジン・メーカー。[湯沢 威・上川孝夫]

創業・発展期

1906年、ロールスCharles Stewart Rolls(1877―1910)の自動車販売会社と、ロイスSir Henry Royce(1863―1933)の自動車製造会社が合併して、資本金6万ポンドでロールス・ロイス社Rolls-Royce Ltd.が誕生。翌年から生産されたシルバー・ゴーストは高性能・高品質の名車といわれた。第一次世界大戦中には、イーグル・エンジンを開発し、イギリス軍戦闘機の60%以上に搭載された。1931年にはスポーツ車のベントレー社Bentley Motors Ltd.を買収してロールス・ロイス車と並行して生産を開始した。第二次世界大戦では、同社のマーリン型エンジンがホーカー・ハリケーンやスーパーマリン・スピットファイア、またアメリカのノースアメリカン・ムスタングなどの戦闘機に搭載され、16万6000台を生産した。戦後、民間航空機エンジン部門に進出し、エーボン、ダート、コンウェイの開発に成功した。[湯沢 威・上川孝夫]

倒産と分割

1963年以降、ジェット機発注が一段落すると、経営は悪化し、とくにエアバス用新エンジンの開発に多額の投資をしたため、1971年2月倒産した。政府はエンジン部門を国有化することにより、救済に乗り出し、また自動車部門は切り離されてロールス・ロイス・モーターカーズRolls-Royce Motor Cars Ltd.として独立した。[湯沢 威・上川孝夫]

ロールス・ロイス・モーターカーズ

独立したロールス・ロイス・モーターカーズは、生産拠点をイングランド北西部のクルーに置いて高級乗用車の生産を続けたが、ドイツのダイムラー・ベンツ(現ダイムラー)やBMWなどとの競争でしだいに売上げが減少し、経営悪化に陥った。そこで1980年イギリスの大手重工業グループ、ビッカースVickers plcによって買収され、その子会社となった。その後、1991年には新型車ベントレー・コンチネンタルRを発売、1994年にBMWと共同でエンジンの開発製造の業務提携を行い、8気筒と12気筒エンジンがBMWから供給された。1990年代後半に世界的な規模で始まったさまざまな分野でのM&A(買収・合併)の波のなかで、当初BMWとの間で進められていた合併計画は、フォルクスワーゲンがBMWよりも9000万ポンド高い、4億3000万ポンドを提案したため、1998年に一転してフォルクスワーゲンによる合併となった。フォルクスワーゲンは2002年までBMWからエンジンの供給を受けて、ロールス・ロイスとベントレーの従来モデルの車種を生産していたが、2003年にロールス・ロイスのブランドとその権利をBMWに売り渡した。したがって、ロールス・ロイスのブランドの車はBMW傘下の工場で生産されている。他方、フォルクスワーゲンは2003年に別途ベントレー・モーターズ社Bentley Motorsを設立し、ベントレーブランドの車の製造・販売を行っている。[湯沢 威・上川孝夫]

ロールス・ロイスのエンジン部門

1971年にエンジン部門は国有化されたが、その後1980年代の国有企業の民営化の流れのなかで、1987年に株式が公開され、ロールス・ロイス社Rolls-Royce plcとしてふたたび民営化された。1989年にはノーザン・エンジニアリングNorthern Engineering Industriesを買収して、発電装置関連事業に進出。また、1995年にはアメリカのアリソン・エンジン社Allison Engine Co.を買収し、空気推進装置や小型ガスタービンなどの分野を強化した。1996年には大型蒸気タービン分野からの撤退を決め、その後はガスタービン分野に活動の中心を移した。また1999年9月、かつてロールス・ロイス・モーターカーズを買収したビッカースの株を買い取って傘下に収め、ビッカースの得意としていた船舶用エンジン部門の強化を図った。
 現在では、グローバルな事業展開をしており、2008年の時点で世界120か国に顧客、50か国に生産拠点をもち、3万8900人を雇用している。2008年の売上げは90億8200万ポンドで、内訳は、民間航空機エンジン45億ポンド、軍事用航空機エンジン17億ポンド、船舶用エンジン22億ポンド、発電用エンジン8億ポンドとなっている。[湯沢 威・上川孝夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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