ロールスロイス(読み)ろーるすろいす(英語表記)Rolls-Royce plc

共同通信ニュース用語解説 「ロールスロイス」の解説

ロールスロイス

1906年に英国で、エンジニアのチャールズ・ロールズとヘンリー・ロイス自動車メーカーとして創業。第1次世界大戦当時から戦闘機エンジンの製造も手がけた。現在は航空機エンジン大手のロールスロイスと、自動車のロールスロイス・モーター・カーズに分かれ、後者は2003年にドイツの高級車メーカーBMW子会社として再出発した。(ウェストサセックス共同)

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精選版 日本国語大辞典 「ロールスロイス」の意味・読み・例文・類語

ロールス‐ロイス

  1. ( Rolls-Royce ) 一九〇六年に創業し、七三年別会社となったイギリスの自動車メーカーおよび航空機エンジンメーカー。また、その自動車、航空機用エンジンの商品名。自動車会社は九八年、ドイツの自動車会社に買収された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロールスロイス」の意味・わかりやすい解説

ロールス・ロイス
ろーるすろいす
Rolls-Royce plc

世界的に有名なイギリスの大手エンジン・メーカー。

[湯沢 威・上川孝夫]

創業・発展期

1906年、ロールスCharles Stewart Rolls(1877―1910)の自動車販売会社と、ロイスSir Henry Royce(1863―1933)の自動車製造会社が合併して、資本金6万ポンドでロールス・ロイス社Rolls-Royce Ltd.が誕生。翌年から生産されたシルバー・ゴーストは高性能・高品質の名車といわれた。第一次世界大戦中には、イーグル・エンジンを開発し、イギリス軍戦闘機の60%以上に搭載された。1931年にはスポーツ車のベントレー社Bentley Motors Ltd.を買収してロールス・ロイス車と並行して生産を開始した。第二次世界大戦では、同社のマーリン型エンジンがホーカー・ハリケーンやスーパーマリン・スピットファイア、またアメリカのノースアメリカン・ムスタングなどの戦闘機に搭載され、16万6000台を生産した。戦後、民間航空機エンジン部門に進出し、エーボンダートコンウェイの開発に成功した。

[湯沢 威・上川孝夫]

倒産と分割

1963年以降、ジェット機発注が一段落すると、経営は悪化し、とくにエアバス用新エンジンの開発に多額の投資をしたため、1971年2月倒産した。政府はエンジン部門を国有化することにより、救済に乗り出し、また自動車部門は切り離されてロールス・ロイス・モーターカーズRolls-Royce Motor Cars Ltd.として独立した。

[湯沢 威・上川孝夫]

ロールス・ロイス・モーターカーズ

独立したロールス・ロイス・モーターカーズは、生産拠点をイングランド北西部のクルーに置いて高級乗用車の生産を続けたが、ドイツのダイムラー・ベンツ(現ダイムラー)やBMWなどとの競争でしだいに売上げが減少し、経営悪化に陥った。そこで1980年イギリスの大手重工業グループ、ビッカースVickers plcによって買収され、その子会社となった。その後、1991年には新型車ベントレー・コンチネンタルRを発売、1994年にBMWと共同でエンジンの開発製造の業務提携を行い、8気筒と12気筒エンジンがBMWから供給された。1990年代後半に世界的な規模で始まったさまざまな分野でのM&A(買収・合併)の波のなかで、当初BMWとの間で進められていた合併計画は、フォルクスワーゲンがBMWよりも9000万ポンド高い、4億3000万ポンドを提案したため、1998年に一転してフォルクスワーゲンによる合併となった。フォルクスワーゲンは2002年までBMWからエンジンの供給を受けて、ロールス・ロイスとベントレーの従来モデルの車種を生産していたが、2003年にロールス・ロイスのブランドとその権利をBMWに売り渡した。したがって、ロールス・ロイスのブランドの車はBMW傘下の工場で生産されている。他方、フォルクスワーゲンは2003年に別途ベントレー・モーターズ社Bentley Motorsを設立し、ベントレーブランドの車の製造・販売を行っている。

[湯沢 威・上川孝夫]

ロールス・ロイスのエンジン部門

1971年にエンジン部門は国有化されたが、その後1980年代の国有企業の民営化の流れのなかで、1987年に株式が公開され、ロールス・ロイス社Rolls-Royce plcとしてふたたび民営化された。1989年にはノーザン・エンジニアリングNorthern Engineering Industriesを買収して、発電装置関連事業に進出。また、1995年にはアメリカのアリソン・エンジン社Allison Engine Co.を買収し、空気推進装置や小型ガスタービンなどの分野を強化した。1996年には大型蒸気タービン分野からの撤退を決め、その後はガスタービン分野に活動の中心を移した。また1999年9月、かつてロールス・ロイス・モーターカーズを買収したビッカースの株を買い取って傘下に収め、ビッカースの得意としていた船舶用エンジン部門の強化を図った。

 現在では、グローバルな事業展開をしており、2008年の時点で世界120か国に顧客、50か国に生産拠点をもち、3万8900人を雇用している。2008年の売上げは90億8200万ポンドで、内訳は、民間航空機エンジン45億ポンド、軍事用航空機エンジン17億ポンド、船舶用エンジン22億ポンド、発電用エンジン8億ポンドとなっている。

[湯沢 威・上川孝夫]

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百科事典マイペディア 「ロールスロイス」の意味・わかりやすい解説

ロールス・ロイス[会社]【ロールスロイス】

世界第2位の英国の航空エンジンメーカー。1906年乗用車の試作をしていたロイス社とフランス高級車の輸入・販売をしていたロールス商会の合併により設立。第2次大戦後は優秀なジェットエンジンを開発,これを事業の主体とする。自動車は〈シルバー・ゴースト〉に代表されるように,重厚なスタイル,高性能と安全性で知られ,各国元首用など世界最高級車とされている。他に〈ベントレー〉のブランドがある。1971年経営不振により倒産,英国の国有会社Rolls-Royce Ltd.として再出発。このとき乗用車部門と小型航空機用レシプロエンジン部門は独立し,ロールス・ロイス・モーターカーズ社(1980年ビッカーズ社傘下に吸収合併)となった。1987年民営化。1989年ノーザン・エンジニアリング・インダストリー社を買収し,エネルギー分野にも進出。発電用タービンの製造,発電所システムの開発を手がける。1990年BMWと共同で航空エンジン会社BMW Rolls-Royce GmbHを設立。1995年航空エンジンのアリソン・エンジン会社を買収。2002年12月期売上高57億8800万ポンド。本社ロンドン。1999年9月,ビッカーズ社(大手の防衛電機メーカー)の買収を発表。ロールス・ロイス・モーターカーズは1998年ドイツのフォルクスワーゲン社に買収されたが,2003年以降の〈ロールス・ロイス〉の商標使用権はBMW社が取得した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロールスロイス」の意味・わかりやすい解説

ロールス=ロイス
Rolls-Royce PLC

イギリスの航空機エンジン,海洋推進システムおよび発電システムメーカー。高級車で知られる。1906年にチャールズ・スチュワート・ロールズがフレデリック・ヘンリー・ロイスの製造する車を独占販売する契約のもと,自動車会社として設立された。同 1906年高級車シルバーゴーストを発売し,騒音の少ないエンジン,乗り心地のよさ,王者の風格をもつ自動車をつくることで有名になった。1914年航空機エンジンの生産を開始し,高級乗用車の製造のかたわら航空機エンジンメーカーとしても発展。1931年自動車メーカーのベントレーを買収,1940年代にはジェットエンジンを開発した。1966年イギリスのブリストル・シドレーを買収して世界第2位の航空機エンジン会社に成長したが,1970年経営危機に陥り,1971年倒産。同 1971年イギリス政府が肩代わりしてジェットエンジン事業を手がけるロールス=ロイスが設立され,国営会社となった(1987再び民営化)。一方,自動車部門とディーゼルエンジン部門は 1973年にロールス=ロイス・モーター・ホールディングスとして分離した。その後 1980年ビッカースに吸収合併されたが,1998年にはフォルクスワーゲンに買収され,2003年ロールス=ロイス&ベントレー・モーター・カーズとなった。

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