一大率(読み)いちだいそつ

日本大百科全書(ニッポニカ)「一大率」の解説

一大率
いちだいそつ

3世紀後半の北九州の伊都(いと)国に置かれた官名。『魏志(ぎし)』倭人伝(わじんでん)にみえる。一大率の官名は、『晋書(しんじょ)』にみえ、中国の剌史(しし)に比定されるが、常駐して女王国(邪馬台国(やまたいこく))以北の周辺諸国の検察を行い諸国に畏憚(いたん)されたという。女王より京都(魏)・帯方郡(たいほうぐん)・韓(かん)諸国への使者、および帯方郡より倭国への使者を取り調べ、その文書・賜物(たまもの)を錯(あやま)りなく女王に伝送する機能も果たした。一大率の設置主体が、魏か女王国かいずれであったかについては説が分かれる。

門脇禎二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版「一大率」の解説

いちだいそつ【一大率】

3世紀の邪馬台国の時代の官名。《魏志倭人伝》に〈女王国より以北には,特に一大率を置き,諸国を検察せしむ〉とある。さらに同書には〈諸国之(これ)を畏憚す。常に伊都国に治す〉とみえるので,一大率は邪馬台国が,北方の国々を検察するために派遣した官で伊都国に駐留していたことがわかる。一大率の〈率〉は,漢語系の用字なので,帯方郡から派遣されてきた官ではないかとみなす説も出されている。【佐伯 有清】

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