大学事典 「一府県一大学原則」の解説
一府県一大学原則
いちふけんいちだいがくげんそく
1948年(昭和23)7月にGHQの民間情報教育局(CIE)の高等教育班が文部省に提示した「日本の国立大学編成の(再考せられたる)原則」,いわゆる新制国立大学設置の11原則の中で示されたもので,同一府県内の大学,高等学校,専門学校,師範学校という旧制の官立高等教育機関を統合・合併し,少なくとも一つの国立総合大学を設立することを内容とした原則。文部省もCIEの提示以前に大学の地方分散の観点から一府県一大学の方針を立てていたものの,国立大学の発足に向けた官立高等教育機関の再編計画には,財政的制約を前提として当該教育機関や設立地域の意向等が反映され,盛岡農林専門学校と東北大学,浦和高校と東京大学の統合など,都府県を越える多くの例外が含まれていた。しかし,CIEによるこの原則の提示と指導により,例外が取り除かれ,1949年5月の国立学校設置法によって同一府県内の官立高等教育機関が統合され,新制国立大学が発足することになった。
著者: 吉川卓治
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報