中世後期に行われた茶売形態の一つ。路傍や寺社の門前で茶を点(た)て,1服を銭1文で飲ませた。縁日の雑踏などでの立売(たちうり)が一般的だったが,参詣者の多い寺社には小屋掛けした常設の茶屋も現れた。15世紀初頭頃の東寺の南大門付近には,多数の一服一銭茶屋が店を出していたことが知られる。「七十一番職人歌合」にも,一服一銭の茶売の姿が描かれている。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…茶を供して客を休息させる店。日本では中世後半に旅行者や参詣人を対象として街道筋や寺社門前などに発生したと思われ,《東寺文書(とうじもんじよ)》には1408年(応永15)11月に京都の東寺南大門前に一服一銭の茶を売る者のあったことを示す記録がある。初めは床几(しようぎ)の上に茶道具を置き,求めに応じて茶を点(た)てていたが,やがて菓子や酒食を供し,給仕女を置くような店ができて遊興的色彩を加え,多様な形態の茶屋を分化するようになった。…
※「一服一銭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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