一条郷(読み)いちじようごう

日本歴史地名大系 「一条郷」の解説

一条郷
いちじようごう

南北朝時代から戦国時代にみえる郷名。古代の青沼あおぬま郷より分離・成立したと推定される。近世西一条にしいちじよう町と上・下の一条町を遺称とする。安和二年(九六九)七月八日の法勝院領目録(仁和寺文書)にみえる「巨麻郡北一条」を一条小いちじようこ(現甲府城跡)の位置に比定し、郷名の起りを条里制に求める説も提起されている。だが、室町時代初期の増補と推定される「地蔵菩薩霊験記」中巻第一四話には、蒲無かまなし(釜無川)東西に流れ「四方一百余町バカリノ曠玄一条ナル白砂ノ河原」がつくり出されていたことに由来すると述べられている。竜王りゆうおう(現竜王町)の信玄堤築堤以前の釜無川が甲府盆地の中央を東流し、現落合おちあい町付近で笛吹川と合流していたことは確かであるが、地名の由来としては確証を欠く。

「一遍上人絵詞伝」には時宗二世他阿真教の布教にかかわり「一条」と記される。一条郷の領主は古代末に一条小山に館を造営した一条忠頼とその子孫であろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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