日本大百科全書(ニッポニカ) 「一様収束」の意味・わかりやすい解説
一様収束
いちようしゅうそく
uniform convergence
関数の列f1(x),f2(x),……や、関数を項とする級数
が収束する状況を示す術語。
関数g(x)が関数f(x)に近いというのは、常識的には、グラフを中心として上下に小さな幅εの帯を考えたとき、y=g(x)のグラフがこの帯のなかに入ってくることと考えられる。このように、考察している範囲内のどのxについても同様の近さで収束していくのが一様収束である。これは、単に各点で
が成立しているというだけでは実現されない。関数列
では、各点でゼロに収束するけれども、 に示すように、見た目にはそのような印象は得られない。この一様収束が重要な理由は、次の定理が成立するためである。(1)連続関数の一様収束極限は、また連続関数である。(2)関数列が一様収束すれば、極限関数の積分は、各関数の積分の極限に等しい。つまり、一様収束fn(x)→f(x)のとき、
なお、関数項級数の一様収束は、その部分和の列の一様収束で定義されるが、これを判定するための次の定理はきわめて有用である。
[竹之内脩]
ワイエルストラスの優級数定理
関数項級数
があり、すべてのxについて、
が収束を満足する数列{Cn}が存在すれば、(*)は一様収束である。
[竹之内脩]