一次反応(読み)いちじはんのう(英語表記)first order reaction

  • first-order reaction

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

化学反応において、反応速度が反応の原系物質(反応物)の濃度に比例する、すなわち反応次数が1の反応を一次反応という。原系の化学種の初濃度をaとし、ある時間t後に濃度がaxになったとすると、そのときの反応速度vは、
  vdx/dtk(ax)
である。あるいは、積分して、

この比例定数kを一次反応速度定数という。その例として、

などがある。形式上、各種放射性核種の放射性崩壊もこれに含めることができる。また、化学種A、Bから生成物ができる反応(AおよびBについてそれぞれ一次、全体では二次)が二次反応であった場合でも、AまたはBのモル数が、他のものに比べてずっと多く、反応中の変化が無視できるような場合は、全体でもあたかも一次のようにみえることがある。このような反応を擬一次反応という。ショ糖の水溶液の加水分解などがその例である。[戸田源治郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版の解説

反応次数が1の反応のことであるが,普通,反応速度が原系のある一種の反応物質の濃度にのみ比例し,ほか成分には無関係な反応をさす.いま,反応開始時の濃度をa,任意の時間tまでの全反応量をxとすると,反応速度は,

となり,反応速度定数kは速度式の積分形より,

と表せる.なお,実際は一次反応ではないが,反応中,いくつかの反応物の濃度がほとんどかわらず,反応速度があたかもある1成分の濃度にのみ比例するようにみえる反応を擬一次反応という.また,全体の反応次数にかかわりなく,反応速度がある成分について一次である場合,その成分について一次反応であるということもある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典内の一次反応の言及

【反応速度】より

…反応の進む道すじがわかっているとき,反応速度式を理論的に導くことができるが,一般にはまず実験的に反応速度式を定め,これから反応が進む機構を推定することが多い。 式(4)の形の反応速度式で,べき指数a′,b′,……を反応次数order of reactionといい,a′,b′,……のどれか一つが1で他はすべて0のとき,一次反応first‐order reactionと呼び,反応速度は濃度の一次関数となる。またa′,b′,……が0または正の整数で,a′+b′+……=2のとき二次反応という。…

※「一次反応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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