甘みの強い果汁,花に含まれ,はちみつにとくに多く含まれる単糖類。ケトン基をもつ六炭糖(ケトヘキソース)で,ブドウ糖と共存して自然界に広く存在する。化学名はD-フルクトースでC6H12O6の分子式で示される。
ショ糖は果糖とブドウ糖が結合してできた二糖類である。果糖は,ショ糖を酸あるいはインベルターゼ(ショ糖分解酵素)の作用で加水分解して,ブドウ糖から分離して得られている。以前は,キクイモのイヌリンを分解して得ていた。果糖は糖類の中では最も甘みが強く,その甘みはショ糖の1.3~1.7倍といわれている。結晶果糖は,吸湿性が強く,甘みは温度によって著しく変化する。これは,果糖の結晶は甘みの強いβ型であるが,これが溶液になると変旋光を起こして,部分的に甘みの低いα型に変化するためである。α型の甘みはβ型の1/3で,温度が高くなるに従ってα型の含量が多くなる。40℃までは果糖はショ糖より甘みが強いが,40℃以上では,逆にショ糖より甘みが低くなる。このような点から考えて,果糖は低温で飲用する果汁の中ではひじょうに強い甘みを呈するが,コーヒーなどに入れた場合には甘味度が低い。果糖は吸湿性が高いので,ケーキ,カステラなどの砂糖の晶出防止にも用いられる。最近,デンプンを加水分解して得たブドウ糖にグルコースイソメラーゼ(ブドウ糖異性化酵素)を作用させて,ブドウ糖の一部を果糖に変えて甘みを増強した異性化糖が新しい甘味料として登場し,幅広く用いられている。
執筆者:貝沼 圭二
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D-フルクトースのことで、天然にもっとも広く存在するケトース。果実、蜂蜜(はちみつ)に多く、甘味度は糖類中もっとも高いが、ショ糖と異なり、温度で変化し、低温のほうが甘味が強い。またグルコースと異なり、体内での吸収あるいは代謝にインスリンをほとんど必要とせず、糖尿病の場合も利用可能のケースがある。
[不破英次]
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出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
「フルクトース」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…少糖は単糖が2~20個程度,多糖はさらにそれ以上結合したものである。単糖の例としてはブドウ糖(グルコース),ガラクトース,また少糖の例としてはグルコースが2分子結合した麦芽糖(マルトース),グルコースと果糖(フルクトース)が結合したショ糖(砂糖),グルコースとガラクトースが結合した乳糖(ラクトース)をあげることができる。多糖にはデンプン,グリコーゲン,セルロースなどがある。…
…このうちD‐マンノースD‐mannose(図(2)),D‐ガラクトースD‐galactose(図(5))が特に重要である。また,ケトン基をもつ糖としてD‐フルクトースD‐fructose(果糖,図(7))が知られている。糖の異性体のうちには,水酸基と水素原子の配置が鏡像の関係にある,すなわちまったく逆の二つの糖の組が現れる。…
※「果糖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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