一然(読み)いちねん(その他表記)Ilyǒn

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一然」の意味・わかりやすい解説

一然
いちねん
Ilyǒn

[生]煕宗2(1206)
[没]忠烈王15(1289)
朝鮮高麗の僧。『三国遺事』の著者。姓,金。名,見明。号,無極,睦庵。一然は字。高宗 14 (1227) 年僧科に及第,同 24年三重大師,同 46年大禅師にいたった。忠烈王2 (76) 年王命により雲門寺の住持となり,同7年王に法説を講論,2年後国尊に推戴され円径 (鏡) 冲照の号を贈られた。雲門寺に事績碑がある。『三国遺事』には,朝鮮古代の神話民間説話のほか,新羅時代の郷歌 (ヒャンガ) 14首 (吏読〈りとう〉で表記) が収録されていて,朝鮮古代文化研究の貴重な資料となっている。諡号は普覚。

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世界大百科事典(旧版)内の一然の言及

【三国遺事】より

…新羅史を中心とした古代朝鮮の私撰の歴史書。高麗の高僧一然(1206‐89)が,1280年代に編纂し,弟子の無極が補筆。5巻9編からなり,第1巻は王暦・紀異,第2巻は紀異,第3巻は興法・塔像,第4巻は義解,第5巻は神呪・感通・避隠・孝善の諸編。…

※「一然」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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