一眼レフカメラ(読み)イチガンレフカメラ(その他表記)Single-lens reflex camera

デジタル大辞泉 「一眼レフカメラ」の意味・読み・例文・類語

いちがんレフ‐カメラ【一眼レフカメラ】

一眼レフ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「一眼レフカメラ」の解説

一眼レフ・カメラ

カメラの種類の一つ。正式には「一眼レフレックス・カメラ」という。レンズを通った被写体像をカメラ内部に置いたミラー反射させて(reflex)、ファインダー結像させる構造を持つ。ファインダーと被写体を撮影するのを一つのレンズで行うから「一眼」という。英語のイニシャルからSLRカメラともいう。ファインダー用と撮影用の二つのレンズを持つ「二眼レフ・カメラ」というのもある(ドイツ・ローライ社のローライ・フレックスが有名)。
 一眼レフの原型はカメラが誕生する前、絵を描くための道具として15世紀に使われ出した「カメラオブスキュラ」(ラテン語で「暗箱」の意味)までさかのぼることが出来る。写真を撮るための道具として一眼レフ・カメラを初めて考案したのは、1861年、イギリスのトーマス・サットンとされている。
 現在の主流となっている35ミリ一眼レフで世界初は、ドイツのイハゲー社が1936年に発売した「キネ・エグザクタ」で、国内では1952年、旭光学(現ペンタックス)が発売した「アサヒフレックスI」型が最初である。その後、ニコンが「F」(1959年)「F3」(1980年)を発売して人気を博した。
 1985年、ミノルタがそれまでの技術とは一線を画す高性能な「オート・フォーカス(AF)」機能を持つ「α-7000」を発売、大ベストセラーとなる。35ミリ一眼レフ・カメラのカテゴリーが「AF機」「MF(マニュアル・フォーカス)機」の二つに区分されるようになった。
その後も国内のニコン、キヤノン、ペンタックス、ミノルタ、オリンパス京セラなどを中心に、激しい一眼レフ・カメラの開発競争が続けられていく。日本のカメラ産業史は一眼レフ・カメラの開発史と重なるところが多い。また高度成長期に働くお父さんが一眼レフ・カメラで家族サービスを写真に収めることは、社会全体が豊かに伸びていく時代の手応え庶民が体感できる行為でもあった。
 2008年10月現在で、一眼レフ・カメラを発売している国内のメーカーは、ニコン、キヤノン、ソニー(コニカミノルタよりカメラ事業を譲渡される)、ペンタックス、オリンパスである。ただしフィルムを使う銀塩一眼レフ・カメラで現行機種は、キヤノンの「EOS-1V」とニコンの「F6」「FM10」の3機種しかない。

(神田憲行 ライター / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

百科事典マイペディア 「一眼レフカメラ」の意味・わかりやすい解説

一眼レフカメラ【いちがんレフカメラ】

撮影レンズがファインダー・レンズを兼ねるレフレックス(反射)カメラ。single-lens reflex camera。レンズとフィルムの間に45°傾斜した鏡をおいてファインダーのピントグラス上に結像させピントを合わせ,撮影時は鏡を自動的にはね上げてフィルムに感光させる。はね上げる必要のない半透明鏡を使用する方式もある。ほぼ実際に映る画像がファインダーで見られ,視差がなく,各種レンズの使用が容易。ペンタプリズム,撮影後自動的に戻るクイック・リターン・ミラー,シャッター作動中だけ絞られる自動絞り等の発達により,小型カメラの主流となった。→カメラ
→関連項目TTL方式二眼レフカメラ反射光式露出計

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一眼レフカメラ」の意味・わかりやすい解説

一眼レフカメラ
いちがんレフカメラ
single-lens reflex camera

カメラ内部に設けた跳ね上げ式反射鏡を利用して,撮影レンズファインダー機構に兼用させたカメラ。撮影レンズと写真フィルムとの間に,レンズの光軸に対して 45°の角度を保持するように反射鏡を仕組み,ピントグラスに投影像の焦点が合うようにしてファインダー機構が成り立っている。撮影時にシャッターボタンを押すと反射鏡が跳ね上がり,映像はレンズを通してフィルムに写されるが,撮影が終わると反射鏡は元の位置に戻るようになっている。日本のメーカーの製品ではデジタル一眼レフカメラや 35ミリ一眼レフカメラが代表機種で,高級機から普及型まで各種の製品がある。

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世界大百科事典(旧版)内の一眼レフカメラの言及

【カメラ】より

…そして50年,東ドイツのツァイス・イコン社が発表したコンタックスSは,35ミリフォーカルプレーンシャッター機であるが,一眼レフ型式で,しかもカメラを腰の高さに保持して見る従来のウェストレベルファインダーに代わり,ペンタプリズム(面のなす角が90度の屋根型反射面をもち,入射光線と反射光線とが90度をなす五角形のプリズム)を用いて目の高さで使用できるアイレベルファインダーを採用したことによって機動性に富んだものとなった。これ以後35ミリ一眼レフカメラはすべてペンタプリズムを備え,そのレンズ交換機構とともに現代のカメラを代表する汎用(はんよう)機種に成長する。 このほか,1948年にはアメリカのE.H.ランドの発明による1分間写真,いわゆるインスタントカメラが発売になっている(インスタントフォトグラフィー)。…

※「一眼レフカメラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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