精選版 日本国語大辞典「ぴんと」の解説
ぴん‐と
〘副〙
① 物が勢いよくはね上がったり、そり返ったり直立したりするさまを表わす語。ぴんぴん。ひんと。
※浄瑠璃・双生隅田川(1720)一「ぴんと反ったる髭八文字にゆるぎ出」
※浄瑠璃・神霊矢口渡(1770)四「ヱヱ憎らしいとぴんとする」
③ 物事をゆるみなくちゃんとやるさま、姿勢がしっかりとしているさまを表わす語。
※咄本・無事志有意(1798)地口好「もっとぴんと揉めといふゆへ」
④ 錠などをしっかりと掛ける音を表わす語。
※歌舞伎・お染久松色読販(1813)中幕「心にぴんと錠前を」
⑤ 糸などをまっすぐに強く張るさま、布などにゆるみがないさまを表わす語。
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉上「糊をぴんと張った客浴衣」
⑥ 心に強く感じるさま、すぐにさとるさまを表わす語。→ぴんと来る。
※善財(1949)〈石川淳〉一「航海のたびかさなるにつれて、負いくさ、いよいよぴんと応(こた)へた」
⑦ 下落した相場が少し上向きになるさまを表わす語。
[補注]①②については「ひんと」の形も見え、清濁判然としないが、一応別項に扱った。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報