一竈(読み)ひとつべっつい

精選版 日本国語大辞典 「一竈」の意味・読み・例文・類語

ひとつ‐べっつい‥べっつひ【一竈】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一つだけ作り設けたへっつい。火床一つだけのかまど
    1. [初出の実例]「裏棚かりて一(ひとツ)べっついにて」(出典浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)五)
  3. ( 形状に似ているところから ) 歌舞伎の鬘の一つ。剃髪者が再び髪を伸ばし始めて、まだ結髪するまでに伸びていない時の月代(さかやき)と額(ひたい)だけをそった頭つき。坊主あがりの悪党の役に用いる。
    1. [初出の実例]「見る影もねへけちな小野郎、それせへもまだ一つ竈」(出典:歌舞伎・小袖曾我薊色縫(十六夜清心)(1859)序幕)

ひとつ‐かまど【一竈】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 同じ一つの竈。
  3. 同じ一つの竈で煮たきすること。生活をともにすること。また、いっしょに生活をする親密な間柄
    1. [初出の実例]「勘次は怖ろしい卯平と一つ竈(カマド)であるよりも却て本意であった」(出典:土(1910)〈長塚節〉五)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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