大学事典 「一般教育科目」の解説
一般教育科目
いっぱんきょういくかもく
日本では,1949年(昭和24)に省令化された大学設置基準により大学教育に一般教育科目が導入された。同基準では,学士課程の卒業に必要となる124単位のうち,「一般教育科目については人文,社会及び自然の三分野にわたり36単位」が卒業要件として求められていた。一般教育は第2次世界大戦後,CIE(民間情報教育局)の指導の下でアメリカ合衆国の制度を参考に導入されたが,大学内外で概して評価は芳しくなく,とくに専門教育をより重視すべきであるとの主張に押され,次第に軽視されるようになった。1991年(平成3)の大学設置基準の改正(いわゆる大綱化)により,一般教育の用語は省令の規程から消え,その後は教養教育,共通教育などと呼ばれるようになった。一方,アメリカの「general education」では,20世紀以降のハーヴァード大学のカリキュラムに典型的にみられるように,配分必修方式により学生に幅広い学習を行わせる形態が一般的である。だが,幅広さと同時に,学士課程教育を通してどのような共通の知識や概念,考え方を学生に身に付けさせるべきかを巡って多様な立場に立つ議論が展開されている。
著者: 福留東土
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報