七口の関(読み)ななくちのせき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「七口の関」の意味・わかりやすい解説

七口の関
ななくちのせき

室町時代,地方から京都に入る7つの街道に設けられた関所。商売物に関銭を課し,七口の率分所 (そつぶんしょ) とも呼ばれた。一部は鎌倉時代にも認められる。七口は未詳だが,下記のうちいずれか7つをさしたものであろう。しかし関が増加しても,数に関係なく京都への入口という意味で,七口と呼んだとも思われる。 (1) 丹波から東回りの鞍馬口 (現在の鞍馬街道) ,(2) 丹波から西回りの西七条口 (山陰街道) ,(3) 同じくその中間から入る長坂口 (周山街道) ,(4) 若狭から近江へ入る八瀬口,または小原口,(5) 近江坂本から山越えに北白河に下って入る今道之下口,また北白河口,(6) 近江の南部から京都の東へ入る東三条口,または粟田口 (東海道) ,(7) 奈良方面から北上する伏見口,(8) 淀,鳥羽から東寺南大門付近を通る鳥羽口 (大坂街道) ,(9) 桂川方面から東進して東寺付近から入る東寺口 (西国街道) などが現在確認されている。日野富子が,七口の関所の税を私腹したため,文明 12 (1480) 年土一揆が発生したのは有名。関が完廃されたのは,豊臣秀吉の時代に入ってからである。江戸時代にも七口の名称が残り,鞍馬口,西七条口,長坂口,東三条口,伏見口,鳥羽口,大原 (小原) 口をいった。

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