みつ‐また【三股・三叉・三俣】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 川、道路、木の枝などが三筋に分かれていること。また、そのものやその場所。
- [初出の実例]「三股(ミツマタ)なる釵を捉り」(出典:大智度論平安初期点(850頃か)一六)
- ② 先端が三つになった熊手。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ③ 先端がY字形になった棒。物干し竿などをかけるために立てたり、物を高い所にかける時などに用いたりする。さんまた。
- [初出の実例]「三叉(ミツマタ)に竹竿を渡し」(出典:暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉四)
- ④ ( 三叉・三椏 ) ジンチョウゲ科の落葉低木。中国原産で、古く渡来し、四国・中国地方で多く栽培される。高さ一~二メートル。枝は三本ずつに分かれる。葉は短柄をもち長楕円状披針形で、裏は灰白色を帯び、長さ一〇~一五センチメートル。晩秋、枝梢から花蕾(からい)をたれ、翌春、葉に先だって黄色い筒状花を蜂の巣のようにつける。樹皮の繊維から和紙をつくる。漢名、黄瑞香。むすびぎ。みまたやなぎ。
▼みつまたの花《 季語・春 》 〔大和本草(1709)〕
- [ 2 ] 東京の隅田川の新大橋と清洲橋との間、小名木川の入り口付近をいった語。江戸時代は東叡山・愛宕山・富士山などを望む景勝地として知られた。
- [初出の実例]「江戸みつまたにて花火を みつまたの岸や花火の石かな輪〈良次〉」(出典:俳諧・崑山集(1651)一一)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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