三棚(読み)サンタナ

デジタル大辞泉 「三棚」の意味・読み・例文・類語

さん‐たな【三棚】

近世武家新婦婚家に持参する道具の、厨子棚ずしだな黒棚書棚のこと。化粧道具や書物などを置く。

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精選版 日本国語大辞典 「三棚」の意味・読み・例文・類語

さん‐たな【三棚】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 江戸時代の武家の女が嫁入り道具の一つとした三つの棚。御厨子棚(みずしだな)・黒棚(くろだな)・書棚(しょだな)のこと。化粧道具や書物などを置く。
    1. [初出の実例]「三棚(サンタナ)銀覆輪は黒くさびて」(出典:雛(1955)〈幸田文〉)
  2. [ 2 ] 三つの有名な違い棚。醍醐寺三宝院の棚、修学院離宮の棚、桂離宮桂棚をいう。

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世界大百科事典(旧版)内の三棚の言及

【修学院離宮】より

…中の御茶屋の庭は下と同じく,滝と遣水と小池のおとなしい作りであるが,当初朱宮(あけのみや)(後水尾上皇第8皇女,林丘寺初代門跡)の御所であったときの書院楽只軒(らくしけん)や,東福門院御所より移築された客殿が今に伝えられている。特に客殿一の間に備えられた,5枚の棚板を霞のように互い違いに配する霞棚は,桂棚(桂離宮新御殿),醍醐棚(三宝院宸殿)とともに天下の三棚として名高い。【村岡 正】。…

【棚】より

…これには棚だけの二階棚,三階棚もあり,蒔絵(まきえ)などで美しく装飾され,寝殿造建築における貴族調度の典型となった。この系統の棚も中世,近世に室内装飾の中心として受けつがれ,近世の三棚や冠棚となる。三棚は大名家の嫁入調度で,厨子棚,黒棚,書棚から成る。…

【木工芸】より

…武家の調度もその典拠となったものはあくまでも公家調度であり,公家調度の二階厨子と二階棚とが組み合わされて,室町時代には武家調度としての厨子棚,黒棚が生まれた。江戸時代になるとこれに書棚が加わって三棚と呼ばれ,大名たちの嫁入り調度の中心的存在となった。桃山時代,千利休によって茶道が大成されると,日本の木竹工芸は再認識され,また本阿弥光悦は,平安朝の諸工芸を学び清新な時代感覚の作品を生み出した。…

※「三棚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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