幸田文(読み)こうだあや

  • 1904―1990
  • こうだあや〔カウだ〕
  • 幸田文 こうだ-あや

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

[生]1904.9.1. 東京
[没]1990.10.31. 東京
小説家,随筆家幸田露伴次女。 1922年女子学院卒業。 28年結婚したが 38年1女を連れて離婚,以後露伴するまでそのかたわらにあって家政を担当した。父の死んだ 47年追憶の記『雑記』『終焉』『葬送の記』を書いて清新直截な文体が認められ,『みそっかす』 (1949) ,『こんなこと』 (50) などの随筆を経て,小説流れる』 (55) を執筆,57年日本芸術院賞受賞。長編小説おとうと』 (56~57) ,短編集『黒い裾』 (55) などがあり,『露伴の書簡』 (51) ,『露伴小品』 (52) ,『続露伴小品』 (53) ,『露伴蝸牛庵歌文』 (55) ,『露伴蝸牛庵語彙』 (56) などを編集して露伴研究に寄与した功績も大きい。芸術院会員。

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百科事典マイペディアの解説

小説家,随筆家。幸田露伴の次女。女子学院卒。24歳で結婚するも,1938年離婚して,父の元に帰る。1947年の露伴の死までその身辺の世話をする。《雑記》《終焉》(1947年)などの露伴に関する随筆で文名を上げる。やがて小説にも手を染め,《黒い裾》(1954年)で読売文学賞を,《流れる》(1955年)で新潮文学賞,日本芸術院賞をうける。作品には他に,自伝《みそっかす》《おとうと》など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

1904-1990 昭和時代後期の小説家。
明治37年9月1日生まれ。幸田露伴(ろはん)の次女。昭和13年離婚し,娘の玉子(青木玉)とともに父のもとにかえる。22年父の死をえがいた随筆「終焉(しゅうえん)」「葬送の記」で注目される。のち小説に転じ,30年「流れる」で新潮社文学賞,31年「黒い裾(すそ)」で読売文学賞。32年芸術院賞。江戸前の歯切れのよい文体で知られた。51年芸術院会員。平成2年10月31日死去。86歳。東京出身。女子学院卒。作品はほかに「おとうと」「闘(とう)」「木」など。
格言など】理解を許さない顔をもっている父なんていうものは,いいなあ,実にいい親だ(「あとみよそわか」)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

随筆家、小説家。父は明治の文豪幸田露伴(ろはん)。東京向島(むこうじま)に生まれる。母および姉弟を早くに失い、幼いときから父露伴に家事や身辺のことで厳しくしつけられる。24歳で酒問屋へ嫁ぎ、店の再興に力を尽くすが、10年を経て離婚。以後、露伴没するまで、その身辺で世話をする。1947年(昭和22)『芸林間歩』露伴特集号に『雑記』を載せ、注目される。同年7月露伴死去に伴い、『終焉(しゅうえん)』『葬送の記』(ともに1947)を書いて文壇に登場。『流れる』(1955)で新潮社文学賞・芸術院賞を、『黒い裾(すそ)』(1955)で読売文学賞をそれぞれ受賞。前者は自らの体験を基にしたもので、教養ある中年の女中梨花(りか)の眼(め)を通して、傾いていく芸者置屋の半年の流れを描いた秀作である。ほかに『おとうと』(1956~57)、『闘(とう)』(1965。女流文学賞受賞)などがあり、また露伴に関する書も多い。

[岡 宣子]

『『幸田文全集』全7巻(1958~59・中央公論社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

小説家、随筆家。幸田露伴の二女。晩年の露伴と生活を共にし、昭和二二年(一九四七)露伴追悼の一文が機縁となって文壇に登場した。随筆集「父━その死」「みそっかす」、小説「流れる」「ちぎれ雲」などがある。明治三七~平成二年(一九〇四‐九〇

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世界大百科事典内の幸田文の言及

【おとうと】より

…《プーサン》(1953)をはじめとする一連の風刺コメディから,1950年代後半《ビルマの竪琴》《炎上》《鍵》《野火》といった文学作品の映画化に進んだ市川崑(1915‐ )監督の円熟期の代表作。原作は幸田文(1904‐90)の同名の自伝的小説で,これを水木洋子が脚色した。時は大正の末,原作者の父の幸田露伴を連想させる作家(森雅之)と,その後妻で,リウマチで足が不自由なクリスチャンの継母(田中絹代が好演)の,冷えびえとした家庭で,きっぱりと生きる姉(岸恵子)とぐれぎみの弟(川口浩)とが,絶えまない口げんかという形でお互いへのいたわりを示す。…

※「幸田文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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