三輪氏(読み)みわうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三輪氏」の意味・わかりやすい解説

三輪氏
みわうじ

古代の豪族。神(みわ)氏とも書き、大三輪氏(大神氏)ともいう。『日本書紀』には、大三輪神(大物主(おおものぬし)神)の子の大田田根子(おおたたねこ)を始祖とする。『古事記』にも意富多多泥古命(おおたたねこのみこと)は神君(みわのきみ)、鴨君(かものきみ)の祖とみえる。大三輪神は大和(やまと)の三輪山に鎮座し、国土経営の神として知られる。『日本書紀』に、崇神(すじん)天皇の世に疫病が流行して人民の大半が死んだとき、大田田根子を神主にして大物主神を祀(まつ)ったところ、疫病はやみ国は平らかになったとある。また敏達(びだつ)天皇14年に大三輪逆君(さこうのきみ)は、物部(もののべ)氏や中臣(なかとみ)氏らと仏法を滅ぼそうと謀り、寺塔を焼き仏像を捨てたといわれ、祭祀(さいし)に関係深い性格をもつ。684年(天武天皇13)52氏に朝臣(あそん)の姓(かばね)を賜ったとき筆頭に大三輪君とみえ、691年(持統天皇5)に18氏に詔して祖先の墓記を上進させたときも、三輪氏が第一位。692年中納言(ちゅうなごん)大三輪朝臣高市麻呂(たけちまろ)が、天皇の伊勢(いせ)行幸農事を妨げると諫言(かんげん)したのは有名。

[志田諄一]

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