下襲・下重(読み)したがさね

精選版 日本国語大辞典 「下襲・下重」の意味・読み・例文・類語

した‐がさね【下襲・下重】

〘名〙
① 束帯の下着。半臂(はんぴ)の下に着け、背後の裾(すそ)を長く引くのを特色とする。鎌倉以後は、文官の縫腋(ほうえき)の束帯は半臂を除き、天皇の料以外は、裾も切り離して別裾(べっきょ)とよんで簡略化した。位階・職掌により長短の制があり、特に短いのを纔着(さいじゃく)という。冬は表を白、裏を蘇芳(すおう)の綾の躑躅(つつじ)重ね。夏は裏の色の一重縠織(こめおり)文様については、天皇は、冬の表を小葵(こあおい)、裏を竪菱(たてびし)、夏は裏に同じ。公卿は、冬の表を浮線綾、裏を横菱(よこびし)、夏は裏に同じ。殿上人以下は、冬の表を白の平絹、裏を黒の平絹。夏は無文の縠または生絹(すずし)の平絹、色は二藍(ふたあい)とした。
蜻蛉(974頃)下「つごもりに、また『これして、となん』とて、はては文だにもなうてぞ、したがさねある」
② =したぎ(下着)日葡辞書(1603‐04)〕
③ 小袖(こそで)の右前をいう。
※道照愚草(16C中か)「小袖の下がい上がいとある本も在之。〈略〉所詮上がさね下かさね、上まへ下まへの事なるべし」
④ (━する) 幾つか重ねたもののうち、いちばん下のもの。また、一番下において上のものと重ねるようにすること。
※御伽草子・六代(室町時代物語大成所収)(室町末)中「うすきこそでをふるぎのしたかさねしなから」
人情本春色梅児誉美(1832‐33)一一「昔蒔絵(まきえ)織部形好みを尽せし三ツ組の、懐中盃下重(シタガサ)ね」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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