当事国が相互に相手国を侵略しないことを約束する条約。不可侵条約ともいう。1920年代から30年代にかけて,ソ連がポーランドなど近隣諸国やフランスとの間に結んだ一連の不侵略条約が有名である。これらの条約には,相互不可侵のほか,領土保全や政治的独立を侵害する武力行使を侵略とみなすこと,一方が第三国に侵略された場合,他方は侵略国を援助しないこと,第三国との間に当該条約に反する条約を結ばないことなどが規定された。ソ連を中心に1933年に結ばれた〈侵略の定義に関する条約〉は,不侵略条約にいう侵略の概念を明確化することが一つの目的であった。ただ,2国間の不侵略条約は,その違反がただちに両国間の武力衝突に至りかねない点で,法的意義に疑問があり,むしろ政治的に2国間関係の安定,強化を目的とするものといえる。なお,ドイツも,1939年にソ連,41年にトルコとの間に不侵略条約を結んだが,これはナチス政権が,第2次大戦で多正面作戦を避けるためという政治的策略の色彩が濃い。また,1933年にラテン・アメリカ諸国間に多数国間条約として結ばれた〈不侵略および調停に関する不戦条約〉は,ラテン・アメリカ不戦条約という別名が示すとおり,内容的には不戦条約にきわめて近い。
執筆者:田中 忠
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