日本大百科全書(ニッポニカ) 「中国石油天然気集団」の意味・わかりやすい解説
中国石油天然気集団
ちゅうごくせきゆてんねんきしゅうだん
中国を代表する国有企業の一つ。石油と天然ガスの探査、開発、精製、流通、化学製品の製造販売をおもな業務としている。英語ではChina National Petroleum Corporationと表記する。略称CNPC。日本では中国石油天然ガス集団ともいう。本部は北京(ペキン)。中国石油化工(Sinopec(シノペック))、中国海洋石油(CNOOC)とあわせて、中国三大国有石油会社とよばれる。1988年、国務院機構改革法案に基づき設立された。傘下には中国石油天然気(ペトロチャイナ)など多くの関連会社があり、総資産は4兆0987億元(2017年時点)。香港(ホンコン)や上海(シャンハイ)のほか、ニューヨーク証券取引所にも上場している。中国東北部の黒竜江(こくりゅうこう)省や遼寧(りょうねい)省、西北部の新疆(しんきょう)ウイグル自治区などで多くの油田開発を手がける。積極的に海外進出し、中東、アフリカなどで油田の買収や石油の輸入業務を展開して、中国政府のエネルギー確保戦略の一端を担う。
前身会社の中国石油天然ガス総公司の社長を務めた元政治局常務委員の周永康(しゅうえいこう)(1942― )が汚職などを理由に2014年に失脚したことに関連して、周に近いとされる社長の廖永遠(りょうえいえん)(1962― )(2015年3月当時)を始め、多くの同社幹部、元幹部が逮捕され、贈収賄や公金横領で有罪判決を受けた。石油業界の不正の実態がメディアにより明らかにされた。
[矢板明夫 2019年5月21日]