日本大百科全書(ニッポニカ) 「中央給電指令所」の意味・わかりやすい解説
中央給電指令所
ちゅうおうきゅうでんしれいしょ
給電業務を統轄し、管理する事業所。電力系統は、広い地域にわたって点在する水力・火力・原子力発電所、変電所、送電線などがすべて電気的に結ばれており、電圧、周波数などをつねに所定の値に維持する必要がある。発電所や変電所など個々の要素については、運転員が把握できるので問題はないが、電力系統全体の状況を正確にとらえることは困難である。したがって、個々の要素を足並みをそろえて系統全体の円滑な運営を図る給電業務、すなわち各種の指令を出すところが必要である。給電業務を行うところを給電所といい、その組織は全体を総轄する中央給電指令所、重要な発電所、変電所を含む送電系統を直接担当する系統給電指令所、その下部機関の地方給電所から成り立っている。中央給電指令所では、各発電所でどれだけの電力を発電し、どの線路を通して送電するか、またどの時間帯にどの発電所を休止させるかなど、系統全体でみて経済的に運用するための需給計画、時々刻々変動する系統負荷に対して数多い発電所の発電電力を指示し、需要と供給力を一致させ、これによって周波数をつねに一定の値に調整する周波数調整、電力系統の情報を把握するため、日常の発電力、負荷などの記録を収集、整理する記録統計などを行っている。最近では、これらのほとんどを、計算機システムを活用し高精度に行う方法が採用されている。
[松田高幸]