中島歌子(読み)なかじま・うたこ

朝日日本歴史人物事典 「中島歌子」の解説

中島歌子

没年:明治36.1.30(1903)
生年弘化1(1844)
明治時代歌人。武蔵国入間郡森戸村(埼玉県坂戸市)生まれ。幼名登世。15歳で水戸天狗党の林忠左衛門と結ばれる。元治1(1864)年の天狗党の乱で夫が戦死。歌子も捕らえられるが,その日も悠々と歌を詠む女丈夫だった。出獄後,加藤千浪に入門。明治10(1877)年ごろから東京小石川の安藤坂に歌塾萩の舎を開き,貴顕夫人,令嬢和歌などを教えた。全盛期には門弟が1000人をこえ,そのなかに三宅花圃,樋口一葉がいた。25年以降は衰運にむかい,「すきかへす人こそなけれ敷嶋のうたのあらす田あれにあれしを」と,一葉の日記(明治27年2月25日)に評された。<参考文献>藤井公明『続樋口一葉研究―中島歌子のこと』

(吉川豊子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中島歌子」の解説

中島歌子 なかじま-うたこ

1845*-1903 明治時代の歌人。
弘化(こうか)元年12月14日生まれ。江戸の人。水戸藩士林忠左衛門と結婚。元治(げんじ)元年天狗(てんぐ)党の乱にくわわった夫と死別。のち加藤千浪(ちなみ)にまなび,東京小石川で歌塾萩の舎をひらいた。門人に三宅花圃(かほ),樋口一葉らがいる。明治36年1月30日死去。60歳。歌日記に「秋の道しば」。
格言など】よしさらは月もまつへし山桜はなの木かけに日はくれにけり(「萩のしつく」)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android