中川寺跡(読み)なかがわでらあと

日本歴史地名大系 「中川寺跡」の解説

中川寺跡
なかがわでらあと

[現在地名]奈良市中ノ川町

なかかわ集落北西、街道の傍らに寺跡があり、畑地に鎌倉時代の五輪石塔だけが残る。根本成身じようしん院と号した。草創について「元亨釈書」巻一三の実範伝に「初範在忍辱山採花、至中川山見地勝形、申官建伽藍、名曰成身院」とあり、平安末から鎌倉期にかけては中川寺成身院として大いに栄えたものと思われる。文明一三年(一四八一)七月二一日、山内の不和から本堂を残して一山ことごとく炎上した(大乗院寺社雑事記)。焼失以前の寺勢は「東大寺雑集録」によって知られ、成身院を中心に一〇余りの塔頭寺院を有していた。大治四年(一一二九)鋳造、長寛二年(一一六四)改鋳の成身院の鐘が現神戸市徳照とくしよう寺に現存する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android