改訂新版 世界大百科事典 「中性点接地方式」の意味・わかりやすい解説
中性点接地方式 (ちゅうせいてんせっちほうしき)
neutral grounding system
三相交流の送電線において変圧器の中性点を接地する方式。接地インピーダンスの種類によって直接接地,高抵抗接地,リアクトル接地,非接地などの種類がある。また電力系統に発生する交流過電圧の大きさによって有効接地系統,非有効接地系統の区別がある。三相交流の中性点は平常の運転時には大地電位に保たれるが,三相の一線が接地するなどの事故時には,その相が大地電位になるため中性点の接地方式によって他の健全な相の電位が異なる値をとることになる。また事故時に流れる電流の大きさも変わる。初期のころは非接地から出発し,1910年代にドイツのペテルゼンW.Petersenが事故電流を打ち消すような大きさの接地インダクタンス,すなわちペテルゼンコイルを発明し,この方式も用いられたが,送電電圧の上昇とともに絶縁上過電圧を押さえるためできるだけ小さいインピーダンスで接地する直接接地方式が採用されるようになった。一線接地時の電圧上昇がある一定値(1.3~1.4倍)をこえないように接地が行われている系統を有効接地系統という。日本の超高圧以上の系統は有効接地系統である。
執筆者:河野 照哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報