中野重治詩集(読み)ナカノシゲハルシシュウ

デジタル大辞泉 「中野重治詩集」の意味・読み・例文・類語

なかのしげはるししゅう〔なかのしげはるシシフ〕【中野重治詩集】

中野重治詩集叙情詩思想詩、抵抗詩など幅広い作品を収める。昭和6年(1931)ナップ出版部から刊行されるが、発禁処分となる。その後もいくつかの版が刊行されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「中野重治詩集」の意味・わかりやすい解説

中野重治詩集 (なかのしげはるししゅう)

中野重治の全詩集。1931年ナップ出版部より刊行されるが発禁。のちナウカ社版その他数種ある。筑摩版全集(全28巻)で74編収められたその詩は,人間の生の〈哀し〉さを歌った〈しらなみ〉など,同人誌裸像》時代の抒情詩22編,《驢馬》に発表した〈歌〉などの自己否定をテーマにした思想詩25編,プロレタリア文学運動の中で,抑圧とそれからの解放を歌った〈朝鮮の娘たち〉などの抵抗詩14編,転向退潮の時期に,諧謔をもって人間への信頼を表した〈古今的新古今的〉などの心境詩7編,その他に分けられる。そのいずれもが日本語の深い味わいと強靱で沈着なリズムを特徴としている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中野重治詩集」の意味・わかりやすい解説

中野重治詩集
なかのしげはるししゅう

中野重治の全詩集。1931年(昭和6)のナップ版は発禁、その後数種ある。その詩は、人間の生の哀(かな)しさを歌った「しらなみ」など『裸像』時代の叙情詩22編、『驢馬(ろば)』に出した「歌」など自己否定をテーマにした思想詩25編、プロレタリア文学運動のなかで、抑圧からの解放を歌った「朝鮮の娘たち」などの抵抗詩14編、転向と退潮の時期に、諧謔(かいぎゃく)をもって人間への信頼を表した「古今的新古今的」などの心境詩七編、その他に大別され、いずれもが日本語の深い味わいと強靭(きょうじん)で沈着なリズムを特徴とする。

[満田郁夫]

『『中野重治詩集』(岩波文庫・新潮文庫)』『亀井秀雄著『中野重治論』(1970・三一書房)』

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