久米川宿(読み)くめがわしゆく

日本歴史地名大系 「久米川宿」の解説

久米川宿
くめがわしゆく

鎌倉時代から戦国期にかけての宿。史料には久米宿ともみえる。鎌倉から武蔵国を経て上野国・越後国に抜ける鎌倉街道の宿駅の一つとして発達した。日蓮佐渡に流される途中宿泊し、文永八年(一二七一)と推定される一〇月二二日の日蓮書状(日蓮聖人遺文)に「今月十月也、十日、起相州愛(甲)郡依智郷、付武蔵国久目河宿、(中略)自此亘大海、欲至佐渡国」とある。鎌倉時代末期成立という「宴曲抄」には「久米河の逢瀬をたどる苦しさ、武蔵野はかぎりもしらずはてもなし」と久米川と武蔵野の情景が描かれている。文明一八―一九年(一四八六―八七)に聖護院門跡道興が北陸・関東・奥羽を旅した時の紀行文「廻国雑記」にも「この(所沢)所を過てくめくめ川といふ所侍り。里の家々には井なども侍らで、たゞこの河をくみて朝夕もちひ侍となん申ければ」と記し、「里人のくめくめ川とゆふくれに成なは水はこほりもそする」と詠んでおり、鎌倉街道を旅する時の重要な宿駅であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の久米川宿の言及

【東村山[市]】より

…武蔵野台地上の近郊住宅都市で,北は埼玉県所沢市に接する。狭山丘陵南東麓は湧水に恵まれて早くから開け,中世には武蔵七党の村山党の根拠地,近世は鎌倉街道の久米川宿として発展した。南部の台地一帯は江戸時代初期の野火止(のびどめ)用水の開削後,新田開発が行われた。…

※「久米川宿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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