亀割峠(読み)かめわりとうげ

日本歴史地名大系 「亀割峠」の解説

亀割峠
かめわりとうげ

亀割山(五九三・九メートル)の南方鞍部を越える峠で、古くから新庄盆地向町むかいまち盆地を結ぶ最短路として利用された。急崖を下った峠の東方は大堀おおほり村枝郷の瀬見せみ西方新田につた川沿いに下り、鳥越とりごえ村枝郷休場やすんば(現新庄市)に出た。「義経記」によれば奥州平泉に落延びる源義経主従は当峠を通り陸奥へと向かった。同書巻七(亀割山にて御産の事)に「各々亀割山を越え給ふに、北の方御身を労り給ふ事あり。御産ちかくなりければ」とあり、義経の妾北の方が亀割山中腹で、義経の子亀若丸を出産したといい、現在、峠東方の平地にある亀割観音(子安観音)奥院には北の方御産跡の石碑が建つ。なお源頼朝軍により従兵を全滅させられた大河兼任は「亀山」を越えて栗原りつげん(現宮城県栗原郡栗駒町)に向かい、同寺で討たれたが(「吾妻鏡」文治六年三月一〇日条)、「大日本地名辞書」はこの「亀山」を亀割のこととも考えられるとする。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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