二口峠(読み)ふたくちとうげ

日本歴史地名大系 「二口峠」の解説

二口峠
ふたくちとうげ

馬場ばばから野尻のじりを経て名取川上流の二口峡谷をさかのぼった、宮城と山形の県境の尾根筋に至る峠。標高九三四メートル。近世には二口越出羽道の陸奥国内最西端にあたる。峠道は野尻から二里一一町の本小屋もとごや付近で二本に分れる。右手へ行く一本は二本にほんぶな境から一一町で山伏やまぶし(現在の二口峠)を越えて馬形まがたから山寺やまでら(以上現山形市)へ至る。左手へ行く一本は二四町で南寄りの清水しみず峠を越えて高野こうや平石水ひらしみず(現同上)へ至る。清水峠の名は近くの弘法清水に、二口峠の名は二本の峠道が分岐することに由来する。弘法清水にはかつて観音堂があり、秋保氏も参詣したという。また山伏峠の名は出羽の山伏たちの行場である山が望めるため付けられたと伝え、最上川が貫流する村山むらやま盆地を越えてがつ山、朝日あさひ連峰がみえるという(仙台領遠見記)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の二口峠の言及

【二口峡谷】より

…宮城県中部を流れる名取川最上流にあたり,秋保(あきう)大滝から山形県境の二口峠(934m)までの約8kmの峡谷をいう。大東岳(1366m)山麓の凝灰岩の崩壊・浸食によって大断崖が生じ,表磐司(おもてばんじ),裏磐司,日蔭磐司と呼ばれる景勝をつくり,甌穴(おうけつ)と滝が結合した姉滝(天)や高さ55mの秋保大滝(名)の奇勝もある。…

※「二口峠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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