宮崎県南西部、西諸県(にしもろかた)郡にあった旧町名(野尻町(ちょう))。現在は小林市(こばやしし)の東南部を占める地域。旧野尻町は1955年(昭和30)野尻、紙屋(かみや)の2村が合併して町制施行。2010年(平成22)小林市へ編入。地名は『延喜式(えんぎしき)』に野後(のじり)の駅名、野波野(のなみの)(野後野?)牛馬牧の記載がある。シラス台地と丘陵性山地が広く、大淀(おおよど)川とその支流岩瀬(いわせ)川が流れる。国道268号が通る。近世は薩摩藩(さつまはん)領。台地が広いが野尻原(のじりばる)用水、漆野原(うるしのばる)用水により水田が開けた。畜産とメロンなどの園芸作物栽培が盛ん。南部に岩瀬ダム、人造湖野尻湖がある。
[横山淳一]
『『野尻町史』(1965・野尻町)』▽『『野尻町史』(1994・野尻町)』
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…木曾川上流域に位置し,西は岐阜県に接する。中世は高山寺領小木曾荘に属し,江戸時代は天領で,中心集落の須原,野尻はともに中山道の宿駅として栄えた。村の東部を木曾山脈,西部を飛驒山脈が占め,豊かな森林地帯となっている。…
…また木曾路の称が中山道の代名詞としてつかわれたこともあるが,これは木曾路の知名度の高さを示すものである。木曾路は分水嶺鳥居峠をはさんで,南と北に流れる木曾川と奈良井川(信濃川の上流)に沿って,南北に縦貫し,その間に贄川(にえかわ),奈良井,藪原,宮越(みやのこし),福島,上松(あげまつ),須原,野尻,三留野(みどの),妻籠(つまご),馬籠(まごめ)の11宿が設けられ,また福島には江戸時代の四大関所福島関が置かれていた。宿駅は幕府の交通上の機関として設けられたものであって,各宿とも公用人馬の継立て,公式の宿泊・休憩などを担当する問屋場(とんやば)・本陣・脇本陣をはじめ,これらの業務にたずさわる問屋役・年寄役・伝馬役などの宿役人の家や,一般の旅人の休泊のための旅籠屋・茶屋,それに諸商人・諸職人の家など,200軒から400軒が街道に沿っていわゆる宿場町を形成していた。…
※「野尻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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