二桃三士を殺す(読み)にとうさんしをころす

精選版 日本国語大辞典 「二桃三士を殺す」の意味・読み・例文・類語

にとう【二桃】 三士(さんし)を殺(ころ)

  1. ( 斉(せい)の景公に公孫接・田開疆・古冶子の三人勇士がおり、ともに功を誇ってわがままであった。景公は宰相晏子の計をいれ、三人のうち功の大きい者二人で食えといって二個の桃を与えた。接と開疆とが功を言いたてて食ったが、古冶子が主張する功の大きさに及ばないのを知って、恥じて自殺した。古冶子もまた、一人生きながらえるのを潔しとせず、続いて自殺したという「晏子春秋‐諫下・景公養勇士三人無君臣之義晏子諫」の故事による ) 奇計によって有為の人を自滅させることのたとえ。〔諸葛亮‐梁甫吟〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 「二桃三士を殺す」の解説

二桃三士を殺す

奇抜なはかりごとによって、相手を自滅に追い込むことのたとえ。

[使用例] にんじょうでもすればけん両成敗うじさとまさむねとりつぶされてしまうし、自分も大きなおちである。二桃三士を殺すの計とも異なるが、一席の会合が三人の身の上である[幸田露伴*蒲生氏郷|1925]

[由来] 「晏子春秋かん・下」に見える話から。紀元前六世紀、春秋時代の中国でのこと。せいという国に三人の勇士がいて、自分が立てた功績にいい気になり、宰相のあんえいをないがしろにするほどでした。その暴れぶりには、君主でさえも手を焼く始末。そこで、晏嬰は、君主に入れ知恵をして、その三人に二個の桃をプレゼントさせました。そして、「三人の功績に応じて分け合うように」と命じたのです。最初に、一人が猛獣を倒した話を、もう一人が敵軍を撃退した話を述べて桃を一つずつ取りましたが、残る一人は黄河の神獣を退治した話を言い立て、桃を二つとも、自分のものにしようとします。すると、最初の二人は、自分の功績が及ばないことを恥じて、自殺してしまいました。さらに、残る一人も、我に返って、二人を自殺に追い込んだことを恥じ、自殺してしまったということです。

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