改訂新版 世界大百科事典 「二色図表」の意味・わかりやすい解説
二色図表 (にしょくずひょう)
two-colour diagram
天体のエネルギー分布を表すのに使われる図の一つ。天体の連続スペクトル分布は,いくつかの波長の放射の強さを測って知られる。二つの波長での強さの比を色というが,二つの色につき多くの星を同一図にかきこんで二色図を作る。二つの色の選択は用途による。図に示したのはジョンソンH.L.Johnson(1921-80)のUBV測光から,B-V,U-Bを座標にしたもの。B-Vは黄色と青色の比で水素のパッシェン連続域の勾配を表し温度に相当する。U-Bは青色と水素のバルマー連続域を含む紫外域の比で,バルマー飛躍や金属量の多寡を表す。温度のほかに表面重力も影響する。熱放射をする黒体の色から星の色のずれが見られる。主系列星に見られるS字状の分布がバルマー飛躍の大きさによる部分と,バルマー線の吸収の大きさによる部分からなる。超巨星ではこの効果は主系列より小さい。準星,白色矮星(わいせい)などは,ふつうの星より黒体に近い色をもっている。しかし白色矮星にも水素の影響が見える。大気の金属量は吸収線の強さや温度分布を通して星の色を変える。球状星団の星の主系列が上方にずれるのは金属の少ないことを示す。スペクトル線から高温星とわかる星で赤いB-Vを示すものは,星間吸収を受けたもので空間赤化といわれる。二色図表上の星の位置は,スペクトル型と合わせて分類に使われるほか,金属量や回転などの特異性,空間赤化による距離の粗い推定などにも用いられる。
執筆者:近藤 雅之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報