二銭銅貨(読み)ニセンドウカ

デジタル大辞泉 「二銭銅貨」の意味・読み・例文・類語

にせんどうか〔ニセンドウクワ〕【二銭銅貨】

江戸川乱歩の短編推理小説。大正12年(1923)「新青年」誌に掲載された、著者の処女小説。ポーの「黄金虫」の影響を感じさせる暗号解読もので、日本の推理小説の基礎を築いた作品
黒島伝治短編小説。大正15年(1926)「文芸戦線」誌に発表。発表時のタイトルは「銅貨二銭」。

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精選版 日本国語大辞典 「二銭銅貨」の意味・読み・例文・類語

にせん‐どうか‥ドウクヮ【二銭銅貨】

  1. 〘 名詞 〙 明治六年(一八七三)八月制定、翌七年二月一日から発行された銅貨。昭和二八年(一九五三)一二月末日限り通用停止。
    1. [初出の実例]「吾等は白銅貨二ツ二銭銅貨(にセンドウクヮ)一ツと共に仲女の手より柔かき小さき掌へ渡されたり」(出典:春迺屋漫筆(1891)〈坪内逍遙〉壱円紙幣の履歴ばなし)

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世界大百科事典(旧版)内の二銭銅貨の言及

【江戸川乱歩】より

…在学中から英米の探偵小説に関心を抱き,卒業後十数種の職業についた。1923年に《二銭銅貨》を発表し,日本における創作探偵小説の基盤を築き,続いて推理を主軸にした《心理試験》(1925),《陰獣》(1928),《石榴(ざくろ)》,怪奇的な《人間椅子》(1925),《鏡地獄》《パノラマ島奇譚》(1926‐27),幻想的な《押絵と旅する男》(1929)などで,探偵小説という新分野を確立した。一方《蜘蛛(くも)男》(1930),《黄金仮面》などのスリラー長編は,強烈なサスペンスにあふれ,一般読者から熱狂的歓迎をうけ,探偵趣味を普及させた。…

【推理小説】より

… 1920年1月に創刊された雑誌《新青年》は,編集長の森下雨村の好みもあって,はじめから海外探偵小説の翻訳・紹介をその特色としたが,同時に新人の創作を募集した。これに応じて投稿され,1923年4月号に掲載された江戸川乱歩の短編《二銭銅貨》は,日本推理小説史上画期的な作品で,以後彼は名作を次々と発表,日本において〈探偵小説作家〉と呼ばれることのできるものの第1号であると同時に,第一人者とも認められるようになった。《新青年》は50年廃刊まで,ほかに横溝正史,水谷準(以上2人は後に編集長をつとめた),甲賀三郎,大下宇陀児(うだる),小酒井不木(ふぼく),角田喜久雄,夢野久作,海野十三,小栗虫太郎,木々高太郎(林髞),久生十蘭(ひさおじゆうらん)などを生み出し,第2次世界大戦前の注目すべき推理小説作家は,すべて《新青年》が育てたといっても過言ではない。…

※「二銭銅貨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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