黄金虫(読み)コガネムシ

デジタル大辞泉 「黄金虫」の意味・読み・例文・類語

こがね‐むし【黄金虫/金子】

甲虫目コガネムシ科の昆虫。体長約2センチ。体は広卵形で、背面は強い光沢のある濃緑色または紫紅色。夏に出現し、広葉樹の葉を食する。 夏》「落ちしままはねはみ出せる―/正雄」
甲虫目コガネムシ科の昆虫の総称。体は頑丈で背面は丸く高まり、金属光沢をもつものが多い。幼虫土中にすみ、地虫じむしとよばれる。植物の葉を食うコガネムシ・カブトムシドウガネブイブイなどと、動物のふんを食うダイコクコガネタマオシコガネなどとに大別される。
[補説]書名別項。→黄金虫こがね虫

こがねむし【黄金虫】[書名]

原題The Gold Bugポー短編小説。1843年発表。キャプテン=キッド財宝を巡る冒険小説。フィラデルフィア‐ダラー‐ニュースペーパーの懸賞で最優秀作品となり、舞台化もされた。

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精選版 日本国語大辞典 「黄金虫」の意味・読み・例文・類語

こがね‐むし【黄金虫・金亀子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. コガネムシ科の甲虫。体長二センチメートルたらず。卵形で光沢の強い金緑色、ときに銅赤色を帯びる。成虫は六~八月に発生し、ナラクヌギの葉を食害。幼虫も地中農作物や樹木の根を食害し、ジムシ、ネキリムシとよばれる。日本各地に分布。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「小かねむし 山吹の色をあらそふ小金むし草木もなびく光り成けり」(出典:御伽草子・こほろぎ草子(室町時代物語大成所収)(室町末))
  3. コガネムシ科に属する甲虫の総称。種類は多く、世界に約二万五〇〇〇種、日本にも三五〇種ほど知られる。体長も二ミリメートルから一〇センチメートルを超えるものまである。食葉類と食糞類とに大別され、前者にはコガネムシ、ヒメコガネ、カブトムシなど、後者にはスカラベマグソコガネなどが属する。〔生物学語彙(1884)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄金虫」の意味・わかりやすい解説

黄金虫
こがねむし
The Gold-Bug

アメリカの作家E・A・ポーの短編小説。1843年6月、『ドラー・ニュースペーパー』紙に懸賞入選作として発表され、好評を博した。アメリカ、サウス・カロライナ州沖のサリバン島の住人ウィリアム・ルグランは、ある日、浜辺で珍しい黄金虫(スカラビウス)をみつけ、そこに落ちていた紙きれに包んで家に持ち帰る。ところが、その紙きれは海賊キッドが宝の隠し場所を記した羊皮紙であることが判明する。ルグランは苦心のすえに暗号を解読し、巨万の財宝を手中にする。海賊キッドにまつわる民間伝承のロマン、怪奇小説じみた宝探しのスリル、暗号解読の知的興味を組み合わせた娯楽小説の傑作で、暗号を利用した推理小説の草分けでもある。

[八木敏雄]

『八木敏雄訳『黄金虫・黒猫・アッシャー家の崩壊ほか五編』(講談社文庫)』

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デジタル大辞泉プラス 「黄金虫」の解説

黄金虫〔小説〕

米国の作家エドガー・アラン・ポーの短編小説(1843)。原題《The Gold Bug》。

黄金虫〔曲名〕

日本の唱歌の題名。作詞:野口雨情、作曲:中山晋平。発表年は1922年。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「黄金虫」の解説

黄金虫 (コガネムシ)

学名:Mimela splendens
動物。コガネムシ科の昆虫

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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